日韓軍事情報包括保護協定、いわゆるGSOMIAが延長されない可能性について早くから我々は着目してきたが、韓国マスコミがようやく事態の急変ぶりを察知し騒ぎ始めた。来月8月24日までに日本政府が破棄を要求する可能性があるようだ。毎年11月に更新の期日があるが、破棄する場合は90日前に通知することになっている。日本側の消息筋もGSOMIAは考慮の対象だと明確に述べたらしい。
日本の韓国に対する制裁措置はいま始まったばかりだ。日本経済産業省が7月1日に発表した半導体産業部門の輸出規制はただの出発点にすぎない。来月末まで重要な3つの分岐点が峠が続く。7月21日には日本の参議院選挙、翌月には8月15日の光復節(解放記念日)の文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージなど、両国の主要政治日程も主な変数となりうる。
分岐点(1)7月18日、日本政府が強制徴用賠償判決に関連して第三国仲裁委員会を構成するよう要求したことに対して韓国政府が返事を出さなくてはならない日だ。韓国政府が返事を出さない場合、日本政府はこれを次の報復カードを切る名分として利用する可能性がある。
日本政府が仲裁委構成を要求する根拠は1965年に締結した韓日請求権協定だ。協定は請求権関連紛争が発生する場合、第一に外交ルートを通じて解決し(第3条1項)、解決できなければ両国間で仲裁委を構成して(第3条2項)、どちらかが拒否する場合、第三国を通した仲裁委(第3条3項)を構成するように規定している。
これに対し、日本は今年1月には第3条1項に伴う外交協議要請(韓国外交部“綿密に検討する”として事実上拒否)→5月には第3条2項に伴う両国仲裁委の構成(韓国政府“慎重に検討中”としながら事実上拒否)→先月19日第3条3項に伴う第三国仲裁委設置を要請した。回答期限は要請日の1カ月後となる7月18日だ。複数の外交消息筋によると、韓国は第三国仲裁委要請を受け入れない方針だ。
7月18日は参議院選挙(21日)を目前に置いた時点だ。安倍政府では韓国を圧迫しながら保守票を結集する一挙両得の時点だ。毎日新聞など日本メディアも7月18日を追加措置の関門として報じてきた。
分岐点(2):8月24日、韓日間2~3級軍事機密を共有するために締結した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長期間だ。韓日両国は国内の一部反対にもかかわらず、北朝鮮挑発などに関連した機密共有のために2016年11月にこの協定を締結した。1年ごとに延長しているが、韓日のうちどちらか片方が破棄を求める場合、満期90日前に通知しなければならない。その時点を逆算すると、8月24日がその延長期間になる。
日本がGSOMIA破棄カードを切る場合、制裁が経済分野を越えて外交安保全方向に拡散する意味を持つ。これは日本が秘密を共有することはできない“安保憂慮国”として韓国を見なすという宣言になる。可能性は厳存する。日本側外交消息筋は10日、“GSOMIAも考慮の対象”と伝えた。日本の事情に精通した韓国の外交消息筋も“GSOMIAも対象になる可能性を排除しないでいる”と話した。
延長期間を控えた8月15日には文在寅大統領の光復節祝辞メッセージがある。文大統領の光復節メッセージを聞いた後、日本が関連措置程度を高める可能性があるという見方もある。韓国でもすでにGSOMIA破棄を主張する声が宋永吉(ソン・ヨンギル)民主党議員など一部から出ている。GSOMIA締結過程に精通したある元高位外交官は10日、電話取材に対して“GSOMIAは北朝鮮情報の韓日米の共助体制の一つという点で維持しなければならない”と強調した。
一方で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、主要30企業グループのトップらを前に、日本政府の半導体材料の輸出規制強化による打撃を最小限に抑えるよう最善を尽くす姿勢を強調した。ただ、文氏が挙げた対策は時間を要するものばかりで、代替が利かない素材を狙い撃ちした措置に、打つ手がない実情をむしろ露呈させたようだ。
会合では、半導体大手で規制強化の影響を最も受けるはずのサムスン電子の実質トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の姿はなかった。日本に出張しているためで、目前に危機が迫る中、大統領との会合よりも日本という現場での対応を優先させた形だ。
日本の政財界に広い人脈を持つ韓国ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)(日本名・重光昭夫)会長も日本出張中で、別の幹部が代理出席した。
財閥トップら30人以上を一堂に集めても本音を引き出せるわけはなく、政治的パフォーマンスにすぎないとの批判も出ている。
文氏は“外交的な努力にもかかわらず、事態が長期化する可能性を排除できない”と吐露した。ただ、“短期的対策”に挙げたのは輸入元の多様化や国内生産の拡大など。専門家から“資金を投じて解決できたなら既に手を付けていた”と冷めた声が上がる。
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