文在寅が最近面白い。国家経済を出汁にした滑稽な寸劇のおかげで抱腹絶倒の愉快なお盆休みとなりそうだ。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5日午後2時、首席・補佐官会議を主宰しながら“南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に優位に追いつくことができる”と話した。
“日本経済が我々の経済より優位にあるのは経済規模と内需市場”と話したが、南北関係改善と結びつけたものだ。
そして文大統領は“大韓民国は道徳的優位を基に成熟した民主主義の上に平和国家と文化強国の地位をより高め、経済強国として新たな未来を開くだろう”と話した。
しかしそれはあくまでも、文在寅氏が語る平和経済なるものが“実現したら”の話だ。現実は、全面的な経済協力どころか、開城工業団地の再開など限定的な経済協力する思うに任せない状況にある。
文在寅氏はこのように、物事を都合よく解釈し、過度に楽天的な物言いをする癖がある。それによって世人を呆れさせた例も1度や2度ではない。
現実をもう少し整理してみよう。昨年こそ、金正恩党委員長との蜜月を誇った文在寅氏だが、今や北から無視されるようになって久しい。
北朝鮮が韓国との対話再開の条件として示しているのが、開城工業団地や金剛山観光再開などの南北経済協力の推進と、米韓合同軍事演習の中止、ステルス戦闘機導入など韓国軍の軍備増強の中止である。
これらはすべて、米韓関係と深く関連している。北朝鮮の非核化が進展していない状況での南北経済協力には米国が反対しているし、米韓合同軍事演習や米国からの先端兵器導入は、韓国の安全保障の基礎とも言えるものだ。
それに、文在寅政権は対日関係について米国に仲裁を頼むくらいだから、米韓関係がどれほど重要か、身に染みてわかっているはずだ。金正恩氏は、その重要な関係を韓国がなげうたない限り、南北関係発展の未来はないと言っているのである。
これでは、南北の平和経済とやらを構築する道筋の、入り口に立つことすら難しい。それとも文在寅氏は、南北関係と引き換えに米韓同盟を放棄する覚悟でも決めたのだろうか。とうていそのようには見えないが、仮にわずかでも、文在寅氏の胸中にそのような考えが芽生えたとすれば、それは北朝鮮の独裁者たちが3代にわたり望んできたことが、実現に向けて大きく動き出したことを意味するだけだ。
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