英BBC放送によると、英海兵隊はジブラルタル自治政府の要請を受け、隊員30人を派遣。ヘリコプターとスピードボートでタンカーに近づき、銃器を使用することなく拿捕したそうです。
ジブラルタル自治政府のファビアン・ピカード首席閣僚は「グレース1はシリアのバニヤース製油所に原油を運んでいた。この製油所はEUの対シリア制裁の対象になっている」との声明を読み上げました。
ジブラルタルの領有権を英国と争うスペインのジョセップ・ボレル外相代理はメディアに「グレース1の拿捕は米国の要請によるものだ」との見方を示しました。
超タカ派のジョン・ボルトン米国家安全保障問題担当大統領補佐官はこうツイートしています。
「素晴らしいニュースだ。英国は、EUの制裁に反したとしてシリアに向けてイラン産原油を運んでいたスーパータンカー、グレース1を拿捕した。米国と同盟国はテヘランとダマスカスが違法貿易から利益を得ることを防ぎ続ける」
英国の次期首相を決める与党・保守党の党首選を戦うジェレミー・ハント外相は英BBC放送にこう述べました。「ジブラルタル当局と英海兵隊の迅速な行動はシリアのバッシャール・アル・アサド大統領による殺人体制への資金源を封じることになるだろう」。
これに対してイラン外務省は駐イラン英国大使を呼びつけ、厳重に抗議しました。同外務省の報道官はイラン国営テレビに対し「これは海賊行為だ。いかなる法的な、国際的な根拠もない」とグレース1の即時解放に応じるよう求めています。
BBCの外交問題担当ジェームズ・ロビンズ記者は「ブリュッセル(EUの本部)は拿捕の決定に関わっていない。関税法を執行するのはEUではなく、責任は加盟国にある。しかしながら英国は米国に頼まれてやっているというイランの指摘を否定するのは難しい」と解説しています。
2007年にはイラン沖で英海軍の兵士15人が13日間にわたってイラン革命防衛隊に拘束されたことがあります。16年4月には英国とイランの二重国籍を有するナザニン・ザガリ=ラトクリフさん(40)が革命防衛隊によって空港で拘束され、投獄されています。
EUは11年から対シリア制裁を発動しています。その一方でイラン核合意から一方的に離脱したトランプ米政権と違って、合意を維持するEUは米国のように対イラン制裁を再開していません。
EU離脱交渉を進める英国が、貿易戦争でEUと利害が対立する米国の要請を受け、対シリア制裁を口実にした事実上の対イラン制裁を発動した格好です。米国とイランの対立にEUを巻き込もうとしているように見えます。
それとも事前に英仏独3カ国のすり合わせがあったのでしょうか。
英紙デーリー・テレグラフによると、グレース1はイラン沖で原油を積んだあと、積み荷が押収される恐れがあるスエズ運河を避け、喜望峰、地中海経由でシリアに向かっていたとみられています。
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