イランの遠心分離機に関する部品供給の事実を受け、米国財務省は中国のaluminium製造業を新たに制裁対象としました。イランにおけるuranium enrichmentの中心的存在とされるTESAが中国の製品を調達しており、関連する企業や幹部すべてが制裁対象となりました。中国は反発する姿勢を見せています。
米財務省は18日、イランの核開発に用いられるアルミニウム製品などの物資の調達ネットワークを構成する企業や個人を制裁対象に指定した。
イランが今月初めにウラン濃縮度引き上げを発表して以来初めて、同国に対する制裁措置を強化した。
ムニューシン財務長官は声明で“中国やベルギーを拠点とするフロント企業を利用して重要な核物質を獲得し、イラン政権の悪意に満ちた野心を後押しする核調達網を封鎖するために行動を取る”と表明。
“遠心分離機向けの製品を購入し、保管する限り、イランは世界に対して良い目的があると主張することはできない”とした。
米財務省によると、制裁対象に指定された企業は、イラン国内で遠心分離機の製造を手掛け、ウラン濃縮で中心的役割を果たす企業“TESA”の調達ネットワークを構成している。
イランの遠心分離機の部品に関連する中国製アルミ製品を購入するための調整役だったTESAの幹部も含まれた。
また、TESAのために多額の中国製アルミ製品の購入契約を結ぶ手助けをしたとされる、ベルギーに子会社TAWU BVBAを持つイラン企業と、TAWU BVBAの幹部も制裁対象となった。
同じく制裁対象に指定された、中国に拠点を置く“河南嘉源アルミニウム業”は、最終的にTESAに供給する目的で、TAWU BVBAにアルミニウム製品を販売していたという。
中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は19日の記者会見で、米財務省がイランのウラン濃縮活動をめぐって中国企業などを独自の制裁対象に指定したことに対して“すでに米側に厳正な申し入れを行った”と述べ、抗議したことを明らかにした。
耿氏は“米国が国内法を援用して他国に単独制裁を行うことに中国は一貫して反対している”と強調。米国に“誤ったやり方”を直ちに正し、“各方面の合法的な権益”を尊重するよう求めた。さらに“米国のイランに対する最大限の圧力が核問題の緊張を招いた根源だ”と改めて主張した。
一方でイランがStrait of Hormuzで英国所有のtankerを拿捕したことも報道されています。英国籍の船舶の拿捕が相次いでいることを受け、英国外相のHunt氏は航行の自由は守られるべきだと強調しています。トランプ氏との協議も始まるとされています。
イランの最高指導者直属の革命防衛隊は19日、中東のホルムズ海峡でイギリス船籍の石油タンカーを拿捕(だほ)したと明らかにした。ジェレミー・ハンター英外相は、イランが“ステナ・インペロ”を解放しなければ、“深刻な展開”が待ち受けていると述べた。
英タンカーの所有会社“ステナ・バルク”と管理会社“ノーザン・マリン・マネジメント”が同日夜に出した声明によると、イギリス時間の同日午後4時(日本時間20日午前零時)ごろ、イギリス船籍タンカー“ステナ・インペロ”(乗員23人)がホルムズ海峡の公海を航行中、複数の小型艇とヘリコプターに囲まれた後、連絡がとれなくなった。タンカーはその後、“イラン方向へ北進”。負傷者の報告はなく、所有会社と管理会社は乗員の安全を最優先しているという。
ハント外相によると、“ステナ・インペロ”は小型艇4隻とヘリコプターに取り囲まれた。
これとは別に、イギリス企業所有のリベリア船籍タンカー“メスダル”も一時的に拿捕されたものの、臨検後に解放され、航行を再開したという。
こうした事態を受けて英政府は19日、同日2度目の危機管理委員会(COBRA)会合を開いた。
ハント外相は記者団に、タンカーの拿捕は“まったく受け入れられない”と表明し、“航行の自由は守られなくてはならない”と強調した。
“この事態が速やかに解決されなければ、深刻な展開につながる”と外相は述べながらも、“武力行使は選択肢として検討していない。事態解決のため外交手段を検討しているが、解決されなくてはならないのは、はっきりしている”と話した。
外相によると、タンカー2隻では様々な国籍の乗員が勤務しているが、イギリス国民は含まれていないという。
“我々の駐テヘラン大使はイラン外務省と接触し、事態解決に向けて取り組んでいる。我々は、パートナー国各国と緊密に連携している”と、外相はさらに説明した。
イラン革命防衛隊に近い同国のタスニム通信は、革命防衛隊が“ステナ・インペロ”を拿捕したと明らかにした。政府港湾当局の話として、“イギリス石油タンカー『ステナ・インペロ』が問題を起こしているという報告を複数受けたため、必要な検査を実施するため、このタンカーをバンダル・アッバス港へ先導するよう、軍に依頼した”と伝えている。
同通信によると、“ステナ・インペロ”が起こした問題とは、(1)船のGPS(全地球測位システム)の作動を止め、(2)ホルムズ海峡の入り口ではなく出口を航行し、(3)警告を無視したことの、規則違反3件だという。
ドナルド・トランプ米大統領は、英船籍タンカー拿捕の知らせを受けて、英政府と協議する意向を示した。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)報道官は、イギリスは1週間余りという短期間の間に2度もイランによる“悪化する暴力の標的”になったと指摘。“イランの悪意ある行動から我々の安全と国益を守るため、アメリカは引き続き、同盟国やパートナー諸国と連携していく”と述べた。
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